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追うぞ! 千夜千冊126夜 『伴淳三郎・道化の涙』 田山力哉
松岡正剛さんは本著をさほど評価しているのではない。
「本書は数ある喜劇役者の評伝のひとつというだけで、とくに名著とか傑作というわけではない。著者はこうした映画関係に詳しく、片岡千恵蔵や市川雷蔵の評伝も書いているが、いずれもソツなく簡潔にまとまっているというだけで、それ以上ではない。それなのにこれをとりあげたのは、喜劇役者の生涯というもの、その日々を覗いてみると感心することばかりなのだということ、それには田山力哉のような書き方が案外適しているということを言いたかったからだ」

伴淳三郎は1908年~1981年を生き73歳の生涯だった。本書は、道化に徹して珍芸を演じ脚光を浴びたコメディアン“バンジュン”の実人生を調べあげ再構成した実名小説であり、スクリーンの裏の悲しき人生を描いている。喜劇役者伴淳三郎は、1950年代、一世を風靡した流行語「アジャパー」「いっぺえやっか」をたて続けにあみ出し、映画『二等兵物語』の大ヒット、“駅前”シリーズの連続ヒットでスターの座に登りつめた。

著者の田山力哉が最後にこう綴っている。
「本名・鈴木寛定。戒名・慈徳院殿親誉観演道居士。七三歳の生涯を閉じた喜劇俳優・伴純三郎は、いま雪に埋もれた墓石の下で母のふくと添い寝をしている。まるで波乱の多かった彼の一生など、一場の夢で、実は何ごともなかったかのように」

『飢餓海峡』で伴淳三郎が刑事役で出ているそうだ。この映画は観ておきたい。
[2014/09/23 23:32] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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