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物語4

4.ジレンマ

午前中にボリーが恐る恐る他基地から積んだ老廃物セルを見に行ったところ驚くべき事態となっていると報告してくれた。どのセルも容器が解けている。しかも死滅している筈の老廃物が細胞増殖を始め動いているというのだ。ヘグリーは直ちに格納庫全体を封鎖する。

「これは大変なことです。ヘグリー、本船から格納庫を放出しましょう」トロン、ロンバート、ボリーが口を揃えて主張した。そうすれば自分たちは助かる。だがやがて格納庫は溶けて増殖細胞が暴れ出てマザーの生命を危篤に陥らせるではないか。ヘグリーは悩んだ。一方、エリスロサイト号は強固な細胞からできており船内なら増殖細胞は閉じ込められる。しかしその場合は自分たちの生命はないだろう。絶体絶命である。

マザーの生命が大事か、それとも自分たち生命が大事か、今どちらの生命を選択するべきか、赤血球の全員が覚悟を迫られていた。辺りが静かになった。マザーの生命の躍動が聞こえる。そして自分たちの鼓動と共振している。ヘグリーの心は固まった。マザーも自分たちも生命だ。どちらも生かす。いや生きる!ヘグリーがそう覚悟したとき、異物に特殊抗体を食わせ細胞増殖を封じ込めるアイデアが浮かんだ。
[2009/12/26 00:10] | 編集技術 | コメント(0) | page top
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