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追うぞ! 千夜千冊122夜 『俳人風狂列伝』 石川桂郎
どうも狂人と云われた11名の俳人を取り上げた本のようだ。石川桂郎なんて人は知らない。1909年に生れ1975年に66歳で逝った。東京の理髪店の息子に生れたそうだ。石川桂郎も俳人で酒食と放言を好む風狂の人であったと云われている。

松岡正剛さんの書き出しを見てみよう。
「この人の文章は達意の名文である。淡々と時代や光景を描写した名文ではなくて、奇怪で非常識な人生を歩んで、他人に迷惑をかけつづけた俳人たちの日々を拾って、それで名文だ。こういう書き方はめったにできない。これはアントナン・アルトーやフェルディナンド・セリーヌが自分で自分の破壊を綴ったわけではないのである。ここに登場している俳人たちは、自分ではアルトーやセリーヌになれず、もちろん一休にも○○にもなれずに、そのかわりいくばくかの俳句だけを残した。それを俳人であって、俳句雑誌の名編集者でもあった石川桂郎が拾って、文章につなげて蘇生した。しかも、蘇生にあたっては本人たちの情熱や狂気に与(くみ)せず、あたかも写経をするようにその感情を殺している。本書が読売文学賞を受賞したのも頷ける」

その11俳人とは、高橋鏡太郎、伊庭心猿、種田山頭火、岩田昌寿、岡本癖三酔、田尻得次郎、松根東洋城、尾崎放哉、相良万吉、阿部浪漫子、西東三鬼である。かろうじて名前を知っているのは種田山頭火ぐらいだろうか。本著は11章から成り各章でその俳人の逸話と俳句が紹介されている。

高橋鏡太郎「蛸の脚」
伊庭心猿「此君亭奇録」
種田山頭火「行乞と水」
岩田昌寿「靭かずら」
岡本癖三酔「室咲の葦」
田尻得次郎「屑籠と棒秤」
松根東洋城「葉鶏頭」
尾崎放哉「おみくじの凶」
相良万吉「水に映らぬ影法師」
阿部浪漫子「日陰のない道」
西東三鬼「地上に堕ちたゼウス」

永井龍男という人がこのような推薦文を書いている。
「ここに語られた11人の俳人は、すでに風狂の人であり畸人である。あるいは世俗に抗しあるいは俗塵にまみれながら、あくまでおのれの詩境を守った俳人とその周辺が、著者の深い愛情と練達の文章で物語られ、事実は小説よりも胸をうつことを証している」
[2014/06/08 20:47] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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