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追うぞ! 千夜千冊117夜 『奇巌城』 モーリス・ルブラン
僕は、ルパンと云えば「ルパン三世」を思い抱く。ルパン三世はモンキー・パンチ(加藤一彦・76歳)の漫画(1967年~)およびその主人公の名前で、怪盗ルパンの孫のルパン三世を主人公にした作品である(1971年からはテレビアニメ化がされ映画やゲーム化などの各種メディア展開がされ現在に至るまで幅広い人気を誇っている)。

松岡正剛さんに云わせるとこうなる。
「ともかくぼくは、アルセーヌ・ルパンのすべてが大好きで大好きでたまらなかった少年だった。むろん少年少女名作全集のたぐいで読んだ。挿絵には山高帽をかぶってマントをひるがえす片目のルパンが、つねに半分黒々としたシルエットで描かれていた。最初に夜を忘れて夢中で読んだのは『怪盗紳士ルパン』か『泥棒紳士ルパン』と銘打った大判ダイジェスト本だったとおもう。それを繰り返し読んだのである。そのため、いつかは高級な美術品や歴史的な宝石しか盗まない大泥棒になってみたいとひそかに決心したほどで、危ないことには、カルピスの味がする初恋まがいの少女たちに、「ねえ、ぼくはアルセーヌ・ルパンのような泥棒になるから、そのときは君はこっそり手伝ってね」と言いふらしていた。のちにそのころの美少女にあったとき、「あのセリフはけっこう口説きのセリフとしてはよかったわよ」と言われた。その美少女は太ったおばさんになっていたのだけれど。それほどルパンには憧れていたので、青年になってからも、20代になってからも、ルパンを読みつづけた。ただし、モンキー・パンチの漫画「ルパン三世」は好きにはなれなかった。あれはアルセーヌ・ルパンにはほど遠い」

僕は基本的なことを知った。アルセーヌ・ルパン(ルパン三世のお祖父さん!)というのがいたことを。それを造詣したのがモーリス・ルブラン(フランスの小説家・1864年~1941年)だということを。要するにルパン三世の前にルパンのオリジナルがあったということ。今日もそのことを知らなかった(苦笑)。

松岡正剛さんに情報をもらう。
「ほんとうは堀口大學が訳した『813』を選びたかったのだが、いくら探しても手元になく、何軒かの本屋にも入っていなかった。これはいずれ取り寄せなければなるまい。それほど大事な本なのである。もっとも物語や筋書を紹介したいわけではなく、アルセーヌ・ルパンその人にぞっこんのオマージュを捧げたいのだから、ここではルパンが登場するシリーズなら何でもいいということになる。それでは手放しすぎるというなら、一応は『813』『奇巌城』『水晶栓』『カリオストロ伯爵夫人』『金三角』あたりをベスト5ということにしておく」

ところで『奇巌城』って何て読むんだ? 「きがんじょう」のようだ。大凡のあらすじは次の通り。
「ノルマンディーのジェーブル伯爵邸で、殺人事件と絵画の盗難事件が発生した。事件の影には、すでに伝説的怪盗として名を馳せていたアルセーヌ・ルパンの影があった。高校生探偵イジドール・ボートルレは次々に謎を解き、ルパンの足取りを突き止めてゆく。フランス王家の財宝やガニマール警部、イギリス人探偵エルロック・ショルメも絡み、事件は次第に壮大な全貌を見せはじめる」

松岡正剛さんがアルセーヌ・ルパンを熱く語っている。
「ルパンは絶対につかまらない怪盗ではあるが、おそらくそれだけでは大人気が出なかったろう。次のような条件が本物の紳士だけに与えられる勲章のように輝いていた。ひとつ、ルパンは大泥棒なのに城館かサロンにしか潜入しなかった。ひとつ、神出鬼没で変装の名人だった。ひとつ、美術品や宝物を失敬するにあたっては、その傍若無人の行為がアルセーヌ・ルパン自身の仕業であることを隠さなかった。ひとつ、洒落たヒューマニストであった。ひとつ、哀しい婦人を見ると放っておけないフェミニストであった。ひとつ、ニセモノやイミテーションを断固として許さなかった。ひとつ、資本主義の勃興に立ち向かうダンディ・アナキストであった。ひとつ、途方もない知識欲と調査力をもっていた。ひとつ、ライバルとの知恵くらべと死闘に生きがいを感じている男であった。こうした条件がアルセーヌ・ルパンをとんでもなくチャーングにしているのだが、推理小説の主人公としてルパンを成功させているのは、実はもっと別な性格付与にある。それは、アルセーヌ・ルパンが怪盗であって、同時に探偵だったということである。これによって読者はルパンの盗み方にぞくぞくするとともに、ルパンが見えない敵の罠を解読しながらその罠を潜り抜けていくスリルとサスペンスを堪能できた。そして、そのことがアルセーヌ・ルパンをして当時のフランスのサロンで最も話題になったヴァーチャル・キャラクターに仕立て上げた最大の理由だったのである」

面白そう。この正月休みに読んでみよう。
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[2013/12/29 02:22] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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