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追うぞ! 千夜千冊107夜 『カオス的脳観』 津田一郎
書いてあることが難しい。俄かに理解できない。

著者の津田一郎さんと松岡正剛さんは知り合いみたいだ。
「ぼくは、京大の富田和久研究室に学んで、日本で最初のカオス学ともいうべきを確立した津田一郎は天才なんだとおもっている。ああ、世の中に天才っているんだとおもったのは、このときが初めてだった。そうおもったのは、彼がぼくの元麻布の家に泊まって一夜をあかし、朝まで話しこんだときからだった。このとき津田君は「新しいマックスウェルの魔」を想定して彼のコスモロジーの図を一枚のペーパーの上に描き、それを鉛筆で何度もたどりながら新しい科学のシナリオ案を披露した。それからチューリング・マシンとコルモロゴフの確率論の周辺を散策しながら、ついには少年時代の記憶の話に及んだものだった。そのあいだ、ぼくもそれなりに勝手な話を挟んだのだが、津田君の話はつねに仮説と検証に富み、かつ一貫していた。いやいや、そのことをもって天才だとおもったのではない。そのひとつずつの話の発想の拠点に、天才のひらめきを感じたのである。本書はそうした津田君が、カオスを通して組み立てた脳のモデルに関する研究成果を、叙述にいろいろな工夫を凝らしてまとめたものである。小著ながらすごい起爆力を秘めている」

現在、津田一郎さん(60歳)は北海道大学におられるようで、複雑系脳科学・カオス脳理論者である。京都大学時代の恩師が富田和久先生ということか。カオスを軸に脳の動的な情報処理に関する見方を研究されている。カオスが脳内で重要な役割を果たしているということだと思う。

そのカオスというのが何なのか。松岡正剛さんの説明に耳を傾けてみる。
「自然界にはカオスという説明しがたい現象があるはずだ、ということを予見したのはアンリ・ポアンカレである。ポアンカレがそのような予見に達したのは3体問題といわれる天体力学上の問題を考察しているときだった。このときすでにポアンカレは、カオスが「超越的な知識あるいは情報の集合体」であることを見抜いていた。ところが、いざ科学者たちがカオスを観測しようとしてみると、そこにはかなり奇妙な性質があることが見えてきた。たとえば、決定論的な方程式をつくっても、そこから不規則な運動が出てくること、カオスを含むシステムを観測するときの僅かな誤差がシステムの非線形性によってシステムと同じくらいの大きさの誤差になってしまうこと、カオスには圧縮できる非周期的な無限列と圧縮できない非周期的な無限列とがまじっていること、カオスを数学的に説明しようとすると再帰性や自己言及性が発生してしまうこと、そのほかいろいろ奇妙な性質が見えてきた。カオスがこのような性質を見せるのは、カオスを観測しようとするからである。カオスにはどうも既存の科学での観測を拒んでいるようなところがある。われわれがコンピュータをつかって見ているカオスの軌道は、ひょっとしたらカオスの影ですらないかもしれないのだった。そこで津田君は、「カオスを観測する」のではなく、「カオスで観測する」という方向転換を考えた。そして、そのような転換を必要とさせるのは、カオスには「記述不安定性」ともいうべき特質があるせいだとみなした。記述不安定性はカオスの「予測不可能性」と「スケールの分離不可能性」によっている。この性質があるかぎり、カオスはカオスを自己記述はしてくれない。津田君は、カオスにおいては「得られたもので駆動する」という奇妙な論理があるのではないかとおもったのである」

松岡正剛さんの説明ではよく分からない。簡単に理解したいので、カオスとは予測できない複雑な様子を示す現象であると捉えよう。ただし予測できないとは決してランダムということではない。その振る舞いは決定論的法則に従うもののそう簡単には測れないものであると理解しよう。

最後は、津田一郎さんから直に学ぼう。
「脳は、はっきり決まった機能をもつパーツが集合することによって成り立っているのではなく、全体として機能することにより特異な機能をもつパーツが出現したものである。したがって、脳の可塑性(物体に力を加えて形を変えることすなわち歪みを作ったとき力を取り除いても変形がそのままになる性質.ちすなわち永久ひずみが生じて物体の形や体積が変化する性質)は各部分を統合するために必要なのではなくて、むしろ、背景の中で各部分が個別特異的な能力を発揮するように、再組織するために必要である。もしも、背景になんらかの変更が与えられ、機能単位の再編成が行われなければならない。このような再編成(reorganization)は時空間の様々なスケールで起こりうるであろう。このような一つの見方を、“動的脳観”と呼びたい」
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[2013/10/23 10:54] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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