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追うぞ! 千夜千冊103夜 『あいまい語辞典』 芳賀綵・佐々木瑞枝・門倉正美
編集の大家に何を云っても無駄であるが、一般的に“変な編集”というものに松岡正剛さんは目を向ける。

松岡正剛さんは今宵の選本理由を次のように語っている。
「こういう辞典はこれからふえていく。まず、そのことを予言しておきたい。この辞典の狙いは、多くの識者から「日本人および日本語の恥部だ」といわれてきた“あいまいな表現”や“曖昧言葉”だけを集めて編集したところにあるのだが、これは、一見、不確実で不確定だとおもわれてきた言葉を、あらためて整理しなおし、並べなおしてみると、そこに意外な姿が見えてくるかもしれないという情報編集なのである。そういう編集が、これからふえていくだろう。たとえば、定価が不安定な商品を並べなおしてみるような商品事典、発言が不確実な人物の言葉を組みなおしてみる発言辞書、あやしい運動をしている星を整理してみる星事典、出入りが不規則な虫尽くしを試みる虫百科など。こういうことをしてみる編集が、これからはけっこう期待されるにちがいない。いわば定番から外れたエンサイクロペディアである。世の中がよく見えない、価値観が統一されていない、などと嘆くよりも、こうした編集の冒険に立ち向かうべきなのである」

どうでもいい話で実利がない。けれど気にはなる。

本著にこのようなことが書いてあった。
「ある調査によると、「朝一番におうかがいしますと」などという時の「朝一番」は、9時という人が53.1%、9時半が14.2%、10時が10.8%だったそうだ。同様に、「夕方」とは4時という人が31.4%、5時が35.2%、6時が15.7%というように分かれている。また、「ちょっと出かけてくるよ」の「ちょっと」は30分が37.6%、60分が20.6%、10分が12.1%となっている。このように、時間を表す言葉はあいまいさをともなっており、また、それで十分にコミュニケーションが円滑に行われているわけである」

あいまいさに効用がある。そういう話であろう。

ある言葉が目にとまった。
「雰囲気的には、合格できそうですけど」
「雰囲気としては、こっちの方向だと思うんですよ、駅は」
「駅に降りただけで雰囲気が感じられるんですよね。いい街ですねぇ」
「山陰や北陸の小都市には雰囲気のある街が多いですね。旅をすると心が安まります」
前段二文の「雰囲気」は、客観的な根拠があるわけではないが主観的な印象、若しくは肌で知った感覚的な情報という意味であろう。後段二文の「雰囲気」は、土地柄、おもむき、情趣といった意味として使われている。

あいまいさに多様な意味合いが込められている。

この例もおもしろかった。
「教師が態度の悪い学生に向かって、「そこらへんに立ってろ」と言った時の「そこらへん」は決して「あいまいな」表現ではない、というのである。こういう場合に「教壇に向かって教壇の右側1.5メートル、黒板から1メートルのところに立っていろ」などという人はいない。必要とされない精確さを追求することは、コミュニケーションの円滑さをかえって損なうだけなのである」

という感じで、本著『あいまい語辞典』から、なんとなく、おぼろげに、言葉のあいまいさのいいところを知ったのでした。
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[2013/09/18 16:36] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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