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追うぞ! 千夜千冊86夜 『コロンビア大学/現代文学・文化批評用語辞典』 ジョセフ・チルダーズ&ゲーリー・ヘンツィ編
今宵の本家の記事は短い。だってそうだろう。これ辞典だもの。書くことがそんなに無いだろうに。今宵がなければ僕はこのような辞典など生涯買わなかっただろう。

ところが松岡正剛さんは意識が違う。こう云っている。
「ぼくはおもしろそうな辞書や事典のたぐいには、目がない。高価なもの、何十冊にもなるものを別とすれば、ちょっとしたものでもたいてい入手する。編集工学などという仕事や研究に就いているせいで、編集成果の結晶ともいうべき辞書・事典に関心をもつということもあるし、実際のぼくの思考や執筆の役にもたつ。また、たんに読んでいておもしろいということもある。むろんファクトチェックや調査検索をするときも、辞書や事典は欠かせない。が、おかしなもので、こんな説明じゃ役にたたないと思えるようなものでも、なんだかいとおしい」

あんたは辞書フェチかい。どうでもええわ。

自分としては気分転換で本辞典の頁をパラパラとめくってみた。そのとき、パッと目に飛び込んできた言葉があった。「MARGINAL/MARGINALIZATION 周縁的な/周縁化」である。少し引用してみよう。
「「周縁的な」ものは、中心的つまり支配的なものの外にあるあらゆるものである。周縁化とは、個人、集団、もの、あるいは活動が「周縁的」にされる、つまり、中心性とその中心性を暗示する権力とを要求する権利を全く剥奪される過程である。たとえば、産業革命は、工場製品をもっと安くより迅速に生産されるようにしたため、手工業を周縁化した」

こういう解説文章を読むと、言葉の意味と文学・文化で用いられている感覚みたいなのが知れて面白いと思う。

松岡正剛さんも例を出して説明している。
「“Abjection”はジュリア・クリステヴァの『恐怖の権力』にしきりに出てくる用語で、「おぞましいものを棄却する」という難解な意味をもっている。アブジェクトが「おぞましいもの」という意味をもつ言葉で、何がおぞましいかというと、組織や場所のもつ同一性や秩序が壊されるおぞましさのことをさす。このおぞましさは、既存の価値を維持しようとするものに反逆するもので、たとえば汚物や廃棄物、体液や死体などがそうであるとともに、法を破ろうとするもの、良心を欺こうとするものも、そこに入ってくる。しかし、このアブジェクトを内なる伝統としている文学というものも、またありうるわけで、クリステヴァはその系譜としてボードレール、ロートレアモン、アルトー、バタイユ、とりわけフェルディナンド・セリーヌに注目したものだった」

なるほど。

で、松岡正剛さんの本辞典の評価は次の通りだ。
「本書は、だいたいこういうことがズラリと手短かに解説されていて、手頃なレファランス・ディクショナリーとして、現代思想や文学批評のキーワードをさぐりたいための初学者を誘っている。人名索引、参考図書案内もまずまず充実している。むろん本格的に知るには、どの項目も簡便になりすぎていてものたりないし、また項目執筆者にブレがあるところも困る。しかし、ぼくが見るかぎりは他の思想系の辞書や事典にくらべると、比較的よくこなれた編集になっていて、ムダがない。本書は松柏社の「言語科学の冒険」というシリーズの6冊目にあたっている。ぼくはこのシリーズの愛読者で、辞書・事典としてはジェラルド・プリンスの『物語論辞典』が待ち遠しかったものだった」

さよか。
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[2013/05/30 22:03] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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