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追うぞ! 千夜千冊76夜 『のり平のパーッといきましょう』 三木のり平
今宵は楽しそうな本。どうも本家記事は短くて松岡正剛さんはあまり書くことがなかったのかもしれない。

松岡正剛さんは、まず編集的な関心を示している。
「この本のおもしろさは、聞き手であって、文章のまとめ役である小田豊二の手腕によっている。“聞き出し編集術”のお手本のような手腕である。誰にでもできる編集術ではない。小田はすでに『勘九郎とはずがたり』『中村屋三代記』『聞き書き・悠玄亭玉介』といった場数を踏んでいる。芸人に何を聞けばよいのか、何を聞かなければかえって喋り出すのか、そのコツがわかっている。この本でも、まことに巧みにのり平の言葉を誘導した。その誘導の言葉は本になった活字からはことごとく削除されていて、すべてがのり平自身の語り口になっているが、われわれプロの編集屋から見ると、楽屋の苦労と苦心が見えて、なおおもしろい」

ぱらぱら読んでみると、ほんとだ、三木のり平が一人で語っているように感じられる。三木のり平(1924年-1999)は、昭和のコメディアンであり俳優。黒い丸眼鏡をかけたアニメの桃屋のCMはよく覚えている。

急に松岡正剛さんのお父さんの事が書かれている。
「三木のり平が並じゃないということは、すでにぼくが高校生のころに父がしきりに言っていたことだった。あれはたいそうな奴やで、と。父はのり平の舞台を見て感心したらしい。ぼくの父はいつもそうなのだが、自分が見てきた舞台を家族を前に口跡よろしく滔々としゃべる男で、それはぼくが小学生であろうと中学生であろうと、変わらなかった。家族が理解しているかどうか、そんなことはおかまいなしだった。」

三木のり平は、コメディアン・俳優としてずば抜けていたのだと理解できた。

で、本書を一言で云うとどうなるのか。松岡正剛さんの説明が簡潔明瞭だ。
「さて、本書は芸談としてのまとまりは欠いている恨みはあるのだが、のり平が遊びによって何を吸収していったのか、そのあたりの生き方・遊び方・演じ方をめぐる三位一体ぶりが、なんともいえず嬉しく、ついついノセられる。のり平は博打も玄人はだし、女も酒も本格的なのである。もうひとつ本書の得難いところは、戦後芸能史とりわけ喜劇の歴史を飾った連中のエピソートがふんだんにもりこまれているところだろう。」

こんな楽しいそうな目次が並んでいる。楽しめた。
序章 ちっぽけ酒場
一章 けものみち
二章 コメディアン誕生
三章 社長漫遊記
四章 飲み打つ買う物語
五章 狢(むじな)
六章 酔談粋談
七章 恋文
終章 大雪の夜
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[2013/04/24 09:51] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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