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追うぞ! 千夜千冊57夜 『デュシャンは語る』 マルセル・デュシャン&ピエール・カバンヌ
マルセル・デュシャンという人をよく知らない。離を受講している時に少し話題に上った記憶があるが(その時に本家・千夜千冊の今宵の記事を読んだと思う)、関心が持てないでいた。

松岡正剛さんが「10年以上にわたって興奮しっぱなしだった」と云うのだから、尋常じゃない何かを発揮した人物であることは察しがつく。松岡正剛さんは「デュシャンに関する本はあまり多くはないが、それでもいくつものまことしやかな本が出回っている。そういうなかでは、晩年のデュシャンがインタビューに答えている本書を読むのが最も無難であろう」と推薦しているので、デュシャンに関する本について本書以外には参照していない。

マルセル・デュシャン(1887年- 1968年)はフランス出身で、のちにアメリカで活躍し20世紀美術に決定的な影響を残した美術家であると云われている。画家として出発したが油彩画制作は途中で放棄したことで有名。チェスの名手としても知られていた。

本書は、ピエール・カバンヌと云う美術評論家(デュシャンより40歳も若い人)が晩年のデュシャン(デュシャンが80歳の頃)にインタビューしたものだ。松岡正剛さんの記事と併せ読むと、デュシャンは自分のアトリエに閉じこもる人で他者との交流も少なかったようだ。だからインタビューに答えることは稀有だと云うことなのだろう。

書く話題が少ないので、デュシャン20代の頃の『階段を降りる裸体 第二番』と題される油彩画を見てみよう。

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私にはこのような前衛芸術を観る力はないが、“裸体”がどこにもないこと、人というよりもロボットのようにも機械のようなものにも見え、かつ上から斜め下へ運動しているように感じられる。同時期の、便器をさかさまにした『泉』もよく分からない。

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松岡正剛さんは、
「デュシャンは「私は何もしていない」と言いつづけた。デュシャンはその存在そのものが深い断片にすぎなかったのである。これはぼくがいちばん好きな存在のタイプであった。デュシャン自身もそのことを知っていた。「私はひとつのプロトタイプである。どんな世代にもひとつはそういうものがある」。デュシャンは「創造」という言葉を嫌っていた。最も美しいものは「運動」だとみなしていた」と説明している。

続けて松岡正剛さんは、
「誰もがあまり言っていないことがある。それは、デュシャンの最も劇的な特徴は、知識を勘でしか解釈しないというところにあるということだ。解釈というのもあたっていない。むしろ偉大な一知半解といったほうがいい」と述べている。

本書の訳者が紹介しているが、アンリ・ピエール・ロシュと云うフランスの美術商は、デュシャンを評して「彼のもっとも美しい作品は彼の時間の使い方である」と言ったそうだ。

ありきたりな感想で終わってしまうが、デュシャンは、人の本物・偽物を直観で観ることのできる人物だったのだろうか。だいたいフランス人というのはよく分からない。
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[2011/10/26 11:18] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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