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追うぞ! 千夜千冊62夜 『ニューロマンサー』 ウィリアム・ギブスン
今宵の松岡正剛さんの記事を読むと、本著と著者をやけに誉めている。当時36歳の才能に満ち溢れた著者が凄いSFを現わした。そんな雰囲気である。

私はハヤカワ文庫で本著を読んでいるが、山岸真と云う人の解説を最初に読んでみた。そこに次のような記述があった。
「本書は、科学や技術が社会やライフスタイルの表層のみならず、人間を(心も体も)、倫理や人間性を、そして人間の定義そのものを(そのキイは記憶と実存であり、Count Zeroでより深く追求されている)根底から変えてゆくさまを描いている。この世のすべては変化するものだという、SFの本質もいえる認識が、ここには強く現われているのだ。それはまた、本書に映しとられた“現在”というものが、いかにSF的かということにほかならない。『ニューロマンサー』のスゴさは、魅力は、こうした説明しつくせない辺りにある。そしてそれが作品世界を、また本書を読むこと自体を比類ないものにしているのだと思う」この解説でなんとなくだが雰囲気が伝わってきた。

松岡正剛さんが書いているように、「「サイバーパンク」というニュージャンルをつくり、あっというまにSFの歴史を塗り替え、そして、またたくまに文学史を飾る古典となった」のが本著なのである。

サイバーパンクというのは、人体や意識を機械的ないし生物的に拡張し、それらのギミック(仕掛け)が普遍化した世界・社会において個人や集団がより大規模な構造(ネットワーク)に接続ないし取り込まれた状況(または取り込まれてゆく過程)などの描写を主題のひとつの軸としたものと説明されている。さらに主人公の言動や作品自体のテーマや構造・機構・体制に対する反発(いわゆるパンク)や反社会性を主題のもう一つの軸とする点や、これらを内包する社会や経済・政治などを俯瞰するメタ的な視野が提供され描写が成されることで作品をサイバーかつパンクたらしめ既存のSF作品と区別され成立したものであるとも言われている。

もともとSF(サイエンス・フィクション)とは何なのか。「科学小説」「空想科学小説」「幻想科学小説」「未来科学小説」などの呼称もある。SFは科学小説ばかりではないという見解から、SFはサイエンス・フィクションの略ではなく、スペキュレーティブ・フィクション(思索的小説)の略だと主張した人もいるようだ。

さて内容だが、松岡正剛さんのいささか興奮した説明では、
「舞台は、ニユー・イエン(新円)が乱れとぶ未来の日本の千葉シティである。出てくるものは電子擬態をこらしたマシンの数々、アーティフィシャル・ホルモンを打ちこんだ人造感覚の持ち主たち、本物か虚偽か見分けのつかない映像網、暗号と記号に満ちた会話とシステム、そういったものばかりである。1ページ進むたびに、いくつもの電界現象がしくまれていて、筋を追うよりも、そのブレードランナー的疾走感がたまらないようになっている」とある。

大凡のあらすじはこんな感じである。サイバネティクス技術と超巨大電脳ネットワークが地球を覆いつくし、ザイバツと呼ばれる巨大企業、そしてヤクザが経済を牛耳る近未来である。かつてはマトリックスと呼ばれる電脳空間(サイバースペース)に意識ごと没入(ジャック・イン)して企業情報を盗み出すコンピュータ・カウボーイであり、伝説のハッカーであるディクシー・フラットラインの弟子であったケイスは、依頼主との契約違反の制裁として脳神経を焼かれてジャック・イン能力を失い、電脳都市千葉市(チバ・シティ)でドラッグ浸りのチンピラ暮らしを送っていた。そんなある日ケイスの元に、全身に武装を施したモリイと名乗る女が現れ、彼女はケイスを謎の男アーミテジに引き合わせる。そしてアーミテジはケイスに、かつてケイスが失ったマトリックスへのジャック・イン能力の修復を代償にマトリックス空間で最もヤバいコンピュータ複合体“冬寂”(ウィンター・ミュート)への潜入を依頼する。それを引き受けたケイスは陰謀とテクノロジーと暴力の支配する電脳世界へと舞い戻る。

ちなみに松岡正剛さんの説明によると、
「タイトルの「ニューロマンサー」はニューロ・マンサー(神経的人間性)とニュー・ロマンサー(新浪漫派)がダブルミーニングになっている。このあたりのネーミングも、当時のニューロダイナミックスやニューラルネットワークの研究前線を反映していた」そうだ。
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[2011/10/31 20:27] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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