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追うぞ! 千夜千冊55夜 『ドリトル先生アフリカゆき』 ヒュー・ロフティング
今宵は有名な作品だし、本家千夜千冊55夜の松岡正剛さんの記述でドリトル・シリーズの概要は大方わかります(今宵はなんと平易な文章なのでしょう)。ですので、追うぞ! 千夜千冊55夜では、他に敢えて書くこともないような気がします。

どうでもよいことを一つだけ話しますと、作品への懐かしさについて、松岡正剛さんは「最初に京都河原町の志津屋で食べたシュークリームのほわほわとした幻想的な味を思い出すように」と表現しています。小さい頃のからだの記憶といったところでしょう。

ヒュー・ジョン・ロフティングはイギリス・バークシャーのメイデンヘッド生まれ。若い頃、アメリカ合衆国やカナダで土木技師をしていたようですが、1916年にイギリス軍人として第一次世界大戦に出征、負傷したそうです。軍用馬の殺処分に多数遭遇し、そのことに心を痛め物語を書いて息子に手紙に送っていたそうです。

松岡正剛さんによると、「日頃感じていることというのは、戦争では兵隊ならばケガや病気をするとちゃんと扱われるのに、人や荷物を運ぶ馬などはケガをしたら捨てられる。ロフティングはこれはおかしい、馬にも同じような看護をしてやるべきだと思っていた。が、そのように馬を看護してやるには、人間が馬の気持ちを察する必要がある。それには馬語も話せるようにならなければならない。そのようなことを夢見ていたロフティングは、これをふくらませた話を子供たちへの便りにして、お父さんの戦地での夢物語を伝えてあげようと考えた。ついでに絵も入れた」だそうです。

ドリトル・シリーズのファミリーにはだいたい似たようなのが登場します。原点はポリネシア(百歳を超えるオウム)ではないでしょうか。ポリネシアがジョン・ドリトル先生に、どんな動物にもちゃんとした言葉があることを教え、先生を感動させ、動物語の研究にのめり込ませたのですから。ドリトル先生が各動物の言葉を話せるようになると、その噂を聞いて世界中から先生に病気を治してもらいに動物たちがやってきたのです。

松岡正剛さんは、「ぼくがいちばん熱中したのは『ドリトル先生と月からの使い』とその続篇の『ドリトル先生月へゆく』『ドリトル先生月から帰る』だったろうか。これは先生が、格別に複雑なしかけの聴音器というものをつくって、ガチョウ・アリ・ハチ・トンボのたてる音を研究しているうちに、ある夜、巨大なガが訪ねてケガをなおすことになる。どうも変なガだとおもってあれこれ研究してみると、そのガは月からやってきていたらしいということがわかる。そこで先生はガの背中に乗って月に行く計画をたてるという話である。ぼくの月狂いを準備したファンタジーだった。この巨大ガは「ジャマロ・バンブルリリイ」という名前をもっている。ぼくはこの名前のリズムが好きで、何度も口にしたものだった」と書いています。月がお好きなのでしょう。そう言えば、松岡正剛『ルナティックス』をまだ読んでいませんでした。

乾坤一擲(けんこんいってき)とは運命をかけて大勝負をするという意味ですが、石井桃子さんが『ドリトル先生アフリカゆき』に賭けた話は有名で、翻訳(下訳)を自分でやり、そのブラッシュアップを、当時、近所に住んでいる井伏鱒二さんに頼んだことで、ドリトル・シリーズが日本で読まれる素地を整えたのですから大いに感謝すべきことです。『ノンちゃん雲に乗る』も読んでみたいです。

子供にドリトル・シリーズ12冊は大いに読むように勧めたいです。
[2011/05/08 15:43] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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