FC2ブログ
追うぞ! 千夜千冊45夜 『国家と犯罪』 船戸与一
今宵の本家の記事は短いです。どうして船戸与一をとりあげているのかよく分かりません。松岡正剛さんは「ぼくは船戸与一の熱狂的な読者ではないかもしれないが、船戸与一を畏敬する読者であろうとは思う」と紹介されています。

松岡正剛さんは、なんでも豊浦志朗の名で出された『硬派と宿命』という作品が「著者がアメリカのインディアン・リザベーション(居留地区)にとびこんで、「自由の国」をうそぶくアメリカ合衆国という虚体を徹底的にあばいたルポルタージュで、これほどアメリカのフロンティア精神の虚構性に肉薄したものはなかったというものだった」とべた褒めしています。

船戸与一はまだ存命だと思いますが、私の中では、例えば落合信彦みたいな人だというイメージです。小学館にSAPIOという雑誌がありますが、ああいう雑誌に記事を書いている人、それも世界の辺境や紛争ものについて。知っていることと云えばそれぐらいでしょうか。

また松岡正剛さんに教えられましたが、「ついでにもうひとつ、ぼくは豊浦志朗こと船戸与一が「ゴルゴ13」の原作者の一人であることも、知らなかった。外浦吾郎の名前になっている」そうです。なるほど「ゴルゴ13」の背景事情を描くのに豊浦志朗(船戸与一)は力を発揮していたわけですね。

船戸与一はそういう人みたいですが、で、この『国家と犯罪』がどうしたってことなのでしょうか?

松岡正剛さんの要約を引用しますと、「本書では、国家と犯罪というテーマが二つの面で解剖されている。ひとつは「国家に対する犯罪」で、もうひとつは「国家による犯罪」だ。そこで、本書では6章にわたって各地の内乱と弾圧、ゲリラと内戦、突破と虐殺、陰謀と陽謀などの錯綜した関係がとりあげられている。いずれも壮絶な現代史が内部から描かれているとともに、その矛盾と限界、希望と宿命とが掘り下げられている。そういう地域に行ったこともないぼくにとっては、まさに目をみはる現代史なのである」のだそうです。クルド人の例が挙げられています。

私の読後感想ですが、船戸与一という人は若い時から世界各地を旅するのが好きだったのでしょう。かっこよく云うと、異境への彷徨や巡礼といったところでしょうか。クルド人のことを一つとり挙げても、現地で見聞するありこれは圧倒的なリアリティを持つが故にその魅力の虜になったのだと思います。

世界の辺境・紛争ものについて我々現代人は知る術が少なく、このような作品を通して知る努力を続けていきたいものです。いま船戸与一は60代半ばすぎでしょうが、彼らの世代のフロンティア精神が、これから将来のあるジャーナリストなどに引き継がれていることを願っています。

さっそく『硬派と宿命』を読んでみようと思います。
スポンサーサイト



[2010/11/21 07:15] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
| ホーム |