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千夜千冊20夜 『撤退せよ! 似非コンサルタント』 船井幸雄
私のこの千夜千冊は、原則として良書を紹介している。まだ20夜を迎えたばかりだが、一服したくなり、今宵はそうではない本を採りあげてみようと思う。

船井幸雄の本なんて、よもや読むことはないと思っていた。ところが、つい先日、本著を衝動買いしてしまった挙句、無意識のうちに、傍の喫茶店で読んでしまった。自分はどうしたのだろうか。

本書は表紙をめくると、カバーの裏側にこんなキャッチコピーがある。「おそらく私の最高傑作ではないか」と。ホー、船井幸雄が何冊の本を出しているのか知らないが(400冊以上だと本人は述べている)、その中で最高傑作なのか。そこまで云うなら読んでやろうかと1,500円を支払った。

読書時間30分。「あぁ、船井幸雄の本だ」と感じた。情報価値はほぼゼロに近い。それよりも懐かしさというのだろうか、そんな感慨が湧いてきた。思えば20年以上も前、私が20代の半ばを過ぎた頃あたり、竹村健一や、落合信彦やらをよく読んでいた。そう云えば船井幸雄もそんな中に入っていたなぁと懐かしんだ。

結論から言うと、こういうカルトは、昔から大勢いた。斎藤貴男『カルト資本主義』では、今から13年前の63歳の船井幸雄が紹介されている。この頃は、脳内革命だとかEM(有用微生物群)を持ち上げていた。懐かしい。船井幸雄はカルトの代表例だ。そして、カルトを支持する経営者や、カルトの言葉に酔う信奉者は多い。

本著の内容は、バカらしくて真面目に論じる気も起きないが、コンサルタントに、熟達したのと未熟なのがいるぐらいは誰でも知っている。未熟なのに一端のコンサルタントでございという顔をしているのが「似非コンサルタント」だと云いたいのだろう。

私に云わせれば、船井幸雄ってオールド世代だと思う。人生の、しかも人様に見識を示すという意味で、この業界の大先輩だからリスペクトはしているものの、こういうカルトは亡くなるまでカルトで居続けるのだろうと思う。

もはやコンサルタントがクライエントに情報を示すというサプライチェーンの発想は古い。いまや情報は溢れかえっている。クライエントのニーズは、情報をつなげる方法を自ら考え抜いて価値創造することだ。それに力になってくれる人をコンサルタントと云う。コンサルタントは、ディマンドチェーンでないといけない。

私の造語だが、サプライチェーン型コンサルタントであるという意味において、熟達していようが未熟だろうが、そういう立場に立つということだけで、彼らが「似非コンサルタント」である。「撤退せよ! 似非コンサルタント」と、私も云いたい。

船井幸雄を、金輪際読まないとしっかり心に刻印できたという意味で、本著は良著であったと思う。

最後に、懐かしさのあまり一言だけ。「伊右衛門」で、前屈テストやオー・リングをやってみた。今でもこういうのが好きだったりする自分が可愛い。

さて、船井幸雄さん77歳。私より30年も人生を深められている先生に向かって偉そうな物言いですいません。どうかご自愛下さい。
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[2010/07/10 20:54] | 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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