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追うぞ! 千夜千冊 8夜 『バベッジのコンピュータ』 新戸雅章

チャールズ・バベッジ(Charles Babbage、1791年-1871年)というイギリスの数学者のことが書かれています。で、その人がどうしたのだという気分で読み始めたのですが、バベッジが世界で初めて計算機なるものを考案したことを知り、サイエンスの発明ものかと分かった次第。

松岡正剛さんが次のように書いています。「1991年5月のこと、重さ3トンの“計算機”がロンドンの科学博物館の主導で完成したというニュースが流れた。チャールズ・バベッジが1840年代に設計した「階差機関」、いわゆる「ディファレンス・エンジン」がついに動いたのである。ちょっとどぎまぎするニュースだった」。英語はdifference engineです。

調べてみると、この1991年に、バベッジが残した設計図に基づいて階差機関が組み立てられ、それが完全に機能したようです。これは19世紀当時の技術の精度に合わせて作られており、バベッジのマシンが当時完成していれば動作していたことを証明したと言われています。で、その出来事に何がどのように「どきまぎする」のかよく分からないのですが、想像するに、要は150年前でもdifference engineは設計どおりに機能し得たという凄さを知らしめたということなのでしょう。

で、疑問が湧くのです。当時バベッジがどうしてその階差機関なるものを組立て操作することができなかったのでしょうか。階差機関の試作機はできたものの、当初の設計レベルのものは完成しなかったのは、政府の資金提供も打ち切られバベッジは借金を抱えたからだという以外には読み取れませんでした。

本著で知ったことはいつくかあります。1つは、コンピュータの定義です。今では「プログラムに従って情報(文字、数字、絵、写真、音などを含め広義にとらえる)を処理する機械」が一般的な定義ですが、バベッジの時代は「プログラムに従って自動的に計算する計算機」という意味合いでした。つまり数値計算を前提に設計されたのです。英語はcalculatorです。

2つは、ところがバベッジはcalculatorと言わず、difference engine、エンジンと用いたことです。今日の用法では、エンジンとは動力機関という意味で使われますが、元来の語源は「生得の才能」や「創造力」を意味するラテン語に由来し、もともとは広く機械仕掛けや機械装置一般を指していたようで、動力機関という意味合いは後に派生したものです。そう考えると妥当な呼び名だったのかもしれません。

バベッジが設計開発したかったものは、階差エンジンと解析エンジンであったと言われています。私は、本著を読んでみてもこの違いが分からないでいます。設計にパンチカードによるプログラミング機能が内蔵されているかということが差異なのでしょうか。

3つは、今日のコンピュータは入力装置、出力装置、記憶装置、演算装置、制御装置の5つの部門かで構成されているのですが、このどの一つが欠けてもコンピュータとは言いえないということです。ところがバベッジのコンピュータには入力装置が欠けていたそうです。だからキーボードもなかった。この逸話が何を意味するのか今の私にはわかりません。

ところで、松岡正剛さんの紹介では、著者の新戸雅章(しんど・まさあき)は『発明超人ニコラ・テスラ』『ニコラ・テスラ未成伝説』『発明皇帝の遺産』などの作者で、1990年代の日本におけるニコラ・テスラのブームはこの人の著作が引き金になっていたようです。

ニコラ・テスラって誰? 調べてみると、1943年まで生きた発明家だとか。エジソンみたいな人なのかしら。松岡正剛さんはこういうのに「どきまぎする」ようです。私は、別にどうでもいいんじゃないのっていう感じなのですが。

今宵はこれにてお仕舞いです。
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[2009/10/16 00:10] | 追うぞ! 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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