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千夜千冊 11夜 『ポジティブ心理学入門』 島井哲志 『ネガティブ・マインド』 坂本真士

前者はもちろん、ポジティブ心理学のすすめです。けれど後者は、ネガティブ・マインドのすすめではさすがに不味いでしょう。ネガティブ・マインドの発生の仕組みを知ってその予防に努めるという意味合いです。

陰陽あわせみる。そう思いましたし、心っていつもポジティブでもないし、逆にいつもネガティブでもありませんので、実態としては、両面から知っておく必要があると考えて二冊同時に読了しました。

実際の生活に示唆を感じるのは、私としては後者の本でした。自己注目・自己に向いた注意という概念を知りました。社会心理学で、自覚状態という概念があり、それは、人が自分自身の方へ注意を向け、自らが自らを注目の的としている状態という定義です。これに、自己意識特性すなわち自己を意識している度合いをプラスしたものが自己注目と呼ばれています。

著者の坂本さんは、この自己注目は私たちの行動を調整する機能を持つが、その反面、ネガティブな気分を増大させる危険性もあると指摘しています。ごく普通に暮らす一般人としては、何か好ましくない出来事があったり、失敗をしてしまった際などには、自分が悪かったのではないかと自己注目すると考えることのほうが納得感は高いです。

そういうネガティブ・マインドに陥らないように調整法が記されています。気晴らしとか運動とか、このあたりはごくあたりまえの提言に終始していますが、なんと言っても本著の読みどころは、ネガティブ・マインドの適応学が展開されているところでしょう。著者自身がネガティブ思考人で、ネガティブな心理状況に親和性があり、ポジティブな心理状況よりもネガティブな心理状況が好きだと自分で書いています。冒頭で記したように、ネガティブ・マインドのすすめではないものの、ネガティブ・マインドに適応するメリットはあるとの主張であり、こんな本は滅多にお目にかかりません。

一方の『ポジティブ心理学入門』は、これまで人勢塾で考えてきたことがコンパクトに整理されていて良い復習となりました。読了後、さらに考えないとならないのは、こういったポジティブ心理にどのようにしたら入れるのか(しかもネガティブ・マインドから脱却してのことならなおさら)、それをどのように維持していけるのか、そういう方法論を自分の慣習にいかに置いていくかという実利ではないかと思いました。
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[2009/08/16 00:10] | 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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