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千夜千冊 10夜 『人を助けるとはどういうことか』 エドガー・H・シャイン

支援(ヘルプ)について書かれています。平易に述べると、支援とは相手の役に立つことです。支援が人間関係の基本であり、それが効果的に行われる社会が好ましいです。

ところが現実は、支援について多くの問題が生じています。著者が「溺れかけた人を救おうと水に飛び込んだ人間が、救出中に相手の肩を脱臼させた件で訴えられるということが、どうして起こるのか。」と書くようなことです。問題を解決し効果的な支援が行われるために、どのように考えていけばよいかを示した書として有益だと思います。

ここでは結論のみを記しておきます。著者がなぜこの結論に至ったかについては、読書のお楽しみです。

7つの原則
①与える側も受け入れる側も用意ができているとき、効果的な支援が生じる。
②支援関係が公平なものだと見なされたとき、効果的な支援が生まれる。
③支援者が適切な支援の役割を果たしているとき、支援は効果的に行われる。
④あなたの言動のすべてが、人間関係の将来を決定づける介入である。
⑤効果的な支援は純粋な問いかけとともに始まる。
⑥問題を抱えている当事者はクライエントである。
⑦すべての答えを得ることはできない。

私は、第7章「チームワークの本質とは?」に最も感銘を受けました。世にチームワーク(またはチームビルディング)について語るノウハウ本の類は無数にあれど、殆どがゴミのようなものですが、「リーダーシップの重大な側面は、支援を受け入れる能力と、組織のほかの人間に支援を与える能力である」「組織を向上させる最善の方法は、相互に支援し合う環境を作り、組織のほかの者との関わりの中で自身の支援のスキルを明らかにすることだ」という記述にめぐり合うと、なるほどそうだなと深い実感が湧きます。

ふつう、訳者・監訳者のコメントというのは、あっても数ページだと思いますが、本著はそれがやけに長いです。訳者の金井真弓さんはまったく登場せず、監訳者の金井壽宏さんがごっつい幅を効かせています。金井壽宏さんが著者なのかと思うほどに(笑)。私は、シャイン『支援学』の位置づけを体系的に示してくれた箇所がとても役に立ちました。また、監訳者の「監」は、よく観ているという意味だとすると、著者とのエピソードまで添えてくれる人は日本で金井壽宏さんただ一人でしょう。
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[2009/08/05 00:10] | 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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