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千夜千冊 9夜 『さらば、暴政』 藤原肇

藤原肇さんには多くの読者がいるでしょう。私はと言えば、その一人で、もう25年近くも藤原さんの本を読んでいます。藤原さんの本はすぐに絶版になるので、出版されたらすぐに買わないといけません。そうやって、私は藤原さんが書いた(または対談した)本をすぐに買って読んできました。おかけで書庫には藤原さんの著した本がすべてあります。

いま46歳の私は、学生時代に藤原肇さんと出会い、うぉ~っ、こんな凄い人がいるのかと感化され、当時まったく理解できないままで藤原さんの本に接し始めました。藤原さんは現在70歳。余談ですが、『さらば、暴政』の奥付けに顔写真が載っています。学生時代に藤原さんとお会いしていますので、面影が随分とお変りになったという印象です。それでも若い時代に藤原さんのような知識人の存在を知り、その影響を受け、学ぶことの大事を教えていただけたことは、間違いなく今の私をつくっています。

さて、私ごときが藤原さんの書評ができるはずもなく、ただこのブログは私どもの印象を記したものにすぎないということで、以下を許していただければと思います。

端的に言うと、診断の結果は、藤原肇節の連続を読まされてよくわかったのですが、それで、その処方箋は如何に。この問いかけに尽きます。

まず藤原肇節の診断が、やけに長いし、かつくどい(同じ趣旨のことの繰り返し)。森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三、福田康夫、麻生太郎と続く自民党の総理大臣について、無能と狂気に支配されていることが綴られています。ここまで歴代総理大臣の面々を酷評した書籍は、本著以外に世の中にないでしょう。私は25年来の藤原ファンなので、この藤原肇節をよく知っていますが、初めて読む人は間違いなく面食らうでしょう。

いかに日本の政治がお粗末で醜悪であるかが書かれているのですが、どうでしょうか、これを読んで、国民として日本の明日に夢を持てるでしょうか。私は一晩かけて読み終えましたが、何もかもが暗い気持ちになりました。ジャーナリズムは批判精神こそが本質だと知ってはいますが、知見を編んで明日をよくする見識を創造するという仕事を一体誰がしてくれるのでしょうか。一人の読者として、筋金入りの批判を読まされるより、荒削りでも明日をどう創っていくのかというアイデアが欲しいです。

驕れる者久しからず。歴史に学ぶ。これは大切です。優れた師傅(しふ)は問いかけの仕方についての伝授はするが、答えは自分で見つけるものである。こう言われても、そうでしょうし、そうしますが、藤原さんが優れたメンターだと自画自賛しているのみに聞こえ、だから何なのかという戸惑いと反発の気持ちになります。

本書は衆議院選挙前の絶好のタイミングで発売されました。政権が代わるかもしれないと言われています。そのような時に、これからの日本の政治をより良くするためのアドバイスや、診断をしたのだから処方箋は何かと問われれば、本著にはその答えはないです。

良書だとは思いますが、読了後に活力が湧いてくるものではありません。きっと売れないでしょう(『小泉純一郎と日本の病理』ほどには)。またすぐに絶版になると思います。良い意味でも悪い意味でも、最初から終わりまで、本著は“藤原肇さんの本”です。

追伸
本記事が藤原肇さんご本人ならびに関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。ここに記しましたことは事実であり私の感想であることに相違ありませんが、長く藤原さんのファンでいるのに、この書を著していただけたことに対する感謝の気持ちをあらわせていませんでした。台湾というこれまでとは環境の異なる地でお暮らしになり、目をお悪くしていらっしゃると聞き、ぜひご健康に留意していただき、さらなるご発展をお祈りいたします。
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[2009/07/14 00:10] | 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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