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千夜千冊 1夜 『なぜ賢い人も流行にはまるのか』 ジョエル・ベスト

松岡正剛さんに憧れて、私も千夜千冊をやってみようと、なんとも無謀な計画を思いつきました。ですが読書の技量が、格段に違う、雲泥の差、月とスッポン、なんとでも表現は思いつきますが、要は私には松岡正剛さんの足元にも及ばないの(松岡正剛さんは雲の上の人)で、人様にお見せするのは恥ずかしい限りです。そこをブログは日記ということで、どうにか私なりの価値を出せないかと挑戦してみることにします。

まずはファッドの定義ですが、勢いよく広がるが長続きしない流行・熱狂です。1958年に米国で流行ったフラフープの例が冒頭で紹介されています。私はまだ生まれていないので日本でも爆発的に売れ一大ブームとなったようですがピンときません。

ファッドがファッション、イノベーションとどう異なるかの説明には感心しました。ファッドがエピソード的な一回限りの熱狂なのに比べ、ファッションは系統的で変化を制度化し予定に組み込んでいるものです(一時性を帯びているが規則的なものにされている一時性)。驚いたのが、腕時計は初めて現れたときはファッドと看做されていたという指摘。その理由は、ベストから吊り下げた懐中時計と鎖は、きちんとした男性の服装の要素としてネクタイにおとらず基本的なものだったから。だけども腕時計は末永く好まれ続けた。これがイノベーションで、最初はファッドと同じようだが長続きするというのが差異です。

フラフープのように取るに足りないものはよいとしても、著者の指摘する社会制度ファッド(ビジネス、教育、医療などの社会制度に現れるファッド)というものには注意を払う必要があります。経営ファッドの例は、この業界にいる私どもにも耳の痛い話で、例えばマネジメントにおける品質向上をテーマとしたもの、品質管理サービス、TQC、BPR、シックスシグマなどはいかにファッドであったかが説明されています。医療ファッドの最たる例はダイエットブームです。

著者は、社会がファッドを受け入れる下地があること、そしてファッドは、①発生(エマージング)、②急上昇(サージング)、③消滅(バージング)のサイクルをとると指摘しています。下地の本質は、社会は、変化してきたという経験によって、進歩、完全なものにできるという可能性、革命、理性に信頼をおけるようになり、こうした信頼のおかげで、進んで新しい考えを検討しようとしているということ。3つのサイクルの説明に本著は多くの頁が割かれていて、新奇なものが広まるのを促す社会的メカニズムと、流行の盛り上がりを支える人々の心理が研究されています。

著者の警鐘として、社会制度ファッドに乗ってしまえば多くの威厳、時間、金が無駄となり損害が発生するので、ファッドへの抵抗力をつけようと5つの方針を掲げています。①前回何が起こったかを忘れない、②並外れた内容の宣伝文句には懐疑的になる、③断固として説得力のある証拠を要求しつづける、④取り残されるという恐れに注意を集中させない、⑤がっかりしたと人々はめったに公言しないということを忘れない。

読了後の感想は、社会制度ファッドとイノベーションの関係がますます分からなくなったというものです(多くの課題が見えたと前向きに捉えていますが)。社会が持つ新しい考えを検討しようとする下地を私はネガティブにとらえたくないです。ファッドへはあくまで抵抗力をつけるのであって、ファッドの発生を否定してしまっては元も子もないと思います。それにしても、懐中時計全盛期に現れた腕時計の例は、プロジェクトラーニングにとっては重要な示唆だと実感しました。イノベーションがどのような動力学(ダイナミック)を持つのか継続して勉強しようと思います。





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[2009/05/11 00:10] | 千夜千冊 | コメント(0) | page top
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